水の歳事記 vol.003
梅雨の終わりを知らせてくれる立葵
花の多い季節の中でそれぞれの花が、その時期に咲きそろう意味を教えてくれます。今回は花の開花時期を梅雨の時期に合わせて咲き競う立葵の花を紹介いたします。
日本特有のつゆの時期に咲く花はたくさんあります。菖蒲、かきつばたなど水辺に咲く花と、紫陽花、あやめなどがあります。その中でも立葵の花は梅雨の流れをわたしたちに知らせてくれる身近な花です。
家のそばに、たちあおいの群落があります。アオイ科タチアオイ属の多年草の立葵(たちあおい)です。5〜6月の梅雨どきに、背丈くらいかそれ以上に伸びた太い茎に沿って大きな花をたくさん咲かせています。たくましいつぼみ逹が咲き終われば梅雨は終わりに近づきます。
花の色は、ピンク・赤紫・黄・白などさまざまで、八重も一重もありますがこのあたりの花は、一重です。今年の花は、3〜4mの巾の群落を形成し、花に勢いがあります。
梅雨の時期には、湿気が多くてじとじとしますが、立葵の花の勢いは種類の多い紫陽花(あじさい)のみずみずしい花とともに、見る者に元気を与えてくれます。
この時期、田舎の稲田に水が張られて、植えたばかりの幼い苗が、さわやかな風になびいている風景へと移ります。幼い頃蛍を追いかけて走り回った佐久の田園風景がよみがえってだぶります。
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